ひなこ、ももちゃんを運ぶ

ひなことセキセイインコのももちゃんとあおちゃんは一緒に遊ばせることができない。前回のうーちゃんのご対面の話と同じく失敗し、仲良くさせることができなかったのだ。うさぎのうーちゃんより更に体の小さいインコたちは、ひなこに対してさほど恐怖心は持っていないようであるが、もしひなこがダイレクトに踏んでしまったら、一瞬で圧死してしまうだろう。あおちゃんは小さい頃の病気がもとで羽が変形し、飛ぶことができない。ももちゃんもそんなあおちゃんにつきあってかどうかはわからないが、飛ぶより地面を歩いていることのほうが多い。部屋で放して遊ばせても、高いところに行くのではなく、2羽で連れ添っていつも床を歩き回っているのだ。そんなインコたちを運動させるときは、ひなこをケージに入れ、常に細心の注意を払っていた。

しかしある日、私の不注意のせいで、ちょっとした事件が起きてしまった。その日、私は鳥かごの掃除をしていた。えさや水を取り替え、ふと鳥かごをみると入り口の戸が開いている。古い鳥かごのため、針金がさびつき、本来なら手を放すと閉まる戸がさびにひっかかり開きっぱなしになっていたのだ。反射的にひなこのほうを見た。恐れを知らないももちゃんはなんとひなこに近づいていっているではないか!一方、ももちゃんを見つけたひなこも興味津々で駆け寄っていった。私は急いで近づいた。今考えると、この「急いで」がマズかった。おもしろそうなものを取りあげられると思ったのか、ひなこはももちゃんをくわえて逃げようとしたのだ。ももちゃんは口の中でもがき、羽が散った。それを見て逆上した私は大声大会に出場したら優勝確実かと思われるほどの叫び声をあげてしまった。犬に対して大声をあげるとよけいに興奮させてしまい逆効果である。しかし、ひなこはこの世のものとは思えない絶叫に驚き、ももちゃんを口から落として逃げた。そして、事無きを得たのである。

ラブラドールは人間が猟をしているとき、撃った鳥を回収してくる仕事をしていた。もし獲物に傷をつけでもしたら、ご主人様に大目玉だっただろう。口の周りが妙にプヨプヨしているのは、くわえた獲物に傷をつけないためである。ひなこももしかしたら、私にももちゃんを運んでこようと思ったのかもしれない。実際ももちゃんは羽がかなり抜けたものの、ケガひとつなかったのだから。それにしても寿命のちぢむ出来事だった。



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