番犬ひなこ ![]() |
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ひなこは誰にでも愛想がいい。道端でちょっとでも声をかけられただけで、しっぽを振って突撃していこうとする。自宅にお客さんが来ようものなら発狂寸前なほど喜ぶ。だが、ほとんど吠えることはない。鼻息はめちゃめちゃ荒いが。そんなひなこは当然番犬には向かないだろうと思っていた。ラブラドールという犬種自体が番犬には向いていないのだから。 突然だが、私のダンナさんは仕事柄出張が多い。長いときには3,4ヶ月出張、ということもある。その間ほとんどすることのない私はあっという間に夜型人間となってしまう。今回はそんなときに起きたお話。 真夏のある夜、あまりの暑さに、ベランダに置いてあるソファーで一人涼んでいた。時は午前3時前後。当然ひなこは爆睡中である。窓越しにリビングからひなこの健やかないびきがきこえてきた。その時、魔がさしたのか、私はふと考えた。今、ここからリビングの窓を叩いてひなこを起こしたら、アイツはどんな反応をするのだろう、と。当然やってみた。ベランダからリビングの窓をコツコツ叩いてみる。しばらくするとひなこのいびきが止まった。そのまましばらくコツコツ叩いているとゴソゴソとカーテンが動き、ひなこが顔を出した。私は窓にへばりつき、ヘンな顔をして見せた。ひなこはそのまま戻っていった。・・・反応ナシかいッ!と思った瞬間、怒涛の勢いでひなこは吠え出したのである。しかも、ものすごく大きな声で。 私の家はアパートだ。夜中にそんなに吠えれば限りなく近所迷惑である。あせった私は急いでリビングに入ろうとしたが鍵がかかっている。寝室の窓からベランダに出たのだから当然だ。ダッシュで寝室に入り、リビングへと向かった。寝室から出るなり、ひなこが興奮して駆け寄ってきた。「外にヘンなヤツがいるよう!」と言わんばかりに、窓と私の間を行ったり来たりしながら吠えている。なんとかひなこをなだめすかしたものの、しばらくは興奮はおさまらないようだった。「ヘンなヤツ」=私、ということには全く気付いていないようだ。リビングの窓の鍵が開いていて、直接私がリビングに入っていたら状況は違っただろうが・・・。 それからのひなこは時々ベランダに来るスズメなどを見て唸るようになってしまった。私のちょっとした出来心のせいで・・・。ひなこよ、ゴメン。でもアンタ、ちゃんと番犬がわりになるんだねえ。 |