ひなこ、溺れる

夏真っ盛りのこれまた日曜日。私とダンナさんはひなこを連れ、車で1時間弱ほどの距離にある川沿いの公園に行った。ひなこはラブラドール。ご先祖様は川や海を泳いで獲物を回収する仕事についていたのだ。しかも、ひなこは水が大好き。暑い日には川を泳ぎたいのではないか?私は常々そう思っていた。今まで何度か市内の川に遊びに行ったものの、川の水があまりに汚いため、泳がせたことはなかった。一度、川の水を飲ませたときには、ひどい下痢になり、ひなこも私も散々な目に遭ったのである。しかし、今回は郊外!川の水も澄んでいる。私はひなこが悠々と泳ぐ姿を想像し、ワクワクしていた。

公園に到着するやいなや、私とひなこは川へと走っていった。一緒に走ってきたダンナさんはその川を見るなり、「川の流れが速いから、ひなこは泳がせられないな。」と言う。確かに川の流れは少し速かった。それでもひなこはラブラドール。ご先祖様だって流れの速い川だろうと気にせず泳いでいたに違いない。そう思った私はこっそりひなこを放してみた。喜び勇んで川へと入っていくひなこ。それを見たダンナさんはまだ川沿いにいるひなこを捕まえようと走っていった。が、ひなこはそんなダンナさんを気にもせずジャブジャブ川へと入っていく。その瞬間!ひなこはあっという間に流されていった・・・。

浮いたり沈んだりしながら流されていくひなこ。それを追いかけ必死に走る私とダンナさん。30メートルほど流されたその先でカップルが水遊びをしていた。その彼氏がひなこをキャッチ!無事岸へと引き上げられた。お礼を言うのも忘れるほど動揺しているダンナさんにかわってお礼をいい、ひなこを見ると、何事もなかったかのようにはしゃいでいる。神経の太いひなこにとってはおもしろい出来事だったのかもしれない。その後もしばらくリードにつないだまま川岸で遊ばせた。しかし、私はひなこが助けられたときに見たダンナさんの半泣きになった真剣な顔がいつまでも忘れられない。ひなこ、生後10ヶ月の出来事であった。



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