はじめての生理

私はひなこを飼った時点から避妊手術をすることを決めていた。ひなこジュニアを見てみたい気持ちもあったが、たった1頭のひなこを育てるのさえこんなに苦労したのだ。とてもじゃないが10頭ちかくの子犬の世話なんぞできるわけがない。ひなこがまだ幼犬のうちからかかりつけの病院に問い合わせ、避妊手術の時期や費用、注意点などを詳しく教えてもらった。が、実際手術ができる時期になると怖気づき、結局うやむやにしてしまった。

そんなある日、じゅうたんに茶色いシミが点々とついているのを見つけた。コーヒーでもこぼしたかな、とシミをふきとったが、そのあとにもシミは至るところに増えていく。そうして3日ほどたって初めてひなこが生理になったことに気付いた。ひなこも大人になったもんだと感動し、体をすみずみまで眺め回した。小さい頃、デベソのようにかわいかった性器が肥大してグロくなっている。まるでイボか何かのように申し訳なさげに存在していた乳首もすっかり大きくなり自己主張している。私は暴れるひなこを押さえ付け、感慨深くいつまでもいつまでも眺めていた。

時を同じくしてひなこはなぜか急にトイレでおしっこができなくなり、じゅうたんにそそうするようになってしまった。怒れば怒るほど困惑顔をしながらもじゅうたんにもらしてしまう。買い替えて1ヶ月も経っていないじゅうたんはあっという間に生理の血とおしっこのでシミだらけになってしまった。すっかりあきらめた私は出血期間中はじゅうたんについたシミを放置して、出血が治まった時点で丸洗いしようと考えていた。出血期間は約10日、それまでの辛抱、と。

余裕を持って2週間後、じゅうたんを駐車場に持っていき、丸1日かけて洗った。軽い気持ちで始めたが、終わる頃には精も根も尽き果てるほどの重労働だった。すっかり乾き、きれいになったじゅうたんを再度リビングに敷く。ひなこも気持ち良さそうに寝転がっている。が、しばらくすると、ひなこはおもむろにピカピカじゅうたんの上でそそうをした。私は発狂して怒鳴ったが、その後も何度叱ってもじゅうたんの上でそそうをしてしまう。しかも、新たな茶色いシミを発見。・・・まだ少量出血していたのだ。結局出血はその後1週間続いた。完全に出血が止まったあと、私はしぶしぶ丸洗いしなおしたのである。が、その後、じゅうたんは物置にしまわれたまま放置状態となってしまった。ひなこ生後9ヶ月の出来事であった。

あとから知ったことだが、生理期間中のわんこは混乱してそそうをしてしまいがちになるらしい。そそうをする度感情的に怒ってしまったことを深く後悔している。



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